生理痛・月経痛
生理痛とは生理期間中に起こるお腹の痛みや腰痛のことをいいます。生理中に起こる痛みは、子宮の収縮によって起こる痛みです。
生理痛に関する大規模なアンケート調査(対象10,000人で4230人から回収)によれば、生理痛の程度と鎮痛薬の使用との関係では、
生理痛が全くない人は21.4%
生理痛はあるが日常生活に支障がない人は45.9%
鎮痛剤の服用で日常生活が普通におくれる人は26.8%
鎮痛薬服用にもかかわらず日常生活に支障をきたす人は4.1%
生理中に寝込んでしまう人は1.9%
つまり32.8%の人が医療的な治療を必要としていました。
しかし、生理痛で医療機関を受診した人は12.2%に過ぎず、多くの女性は生理痛で苦しんでいるにもかかわらず、適切な処置をとっていないことが明らかになりました。
生理痛・月経痛の分類
生理痛には、機能性月経困難症と器質性月経困難症とがあります。
○機能性月経困難症
機能性月経困難症は原発性月経困難症ともいい、骨盤内に器質的な原因がなくて月経困難症をきたしているものを指します。
○器質性月経困難症
続発性月経困難症ともいい、骨盤内に器質的な原因(子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮頸管狭窄、骨盤内癒着、子宮奇形などの器質的な病変)があり、これにより月経困難症をきたすものを言う
生理痛・月経痛の原因
生理痛の原因としてストレス、ホルモン、子宮筋過強収縮、神経、子宮後頸後屈、子宮発育不全などが挙げられますが、その中で注目されているのがプロスタグランジンによる生理痛です。子宮筋は分泌期から月経期にかけて子宮内膜で産生されたプロスタグランジンにより過剰に収縮し、子宮内圧が更新してしまいます。そうすると子宮筋は虚血状態となり、虚血性の痛みが起こると言われています。
生理痛・月経痛の鍼灸治療
生理痛の根本的な原因は、東洋医学でいう「気血」が円滑に運ばれないことによると考えます。鍼灸治療でツボを刺激することで気血の運行を円滑にして滞った血の流れを改善することができます。また冷え症を併発している場合は、お灸を使って腹部や腰を温め痛みを和らげることができます。
生理不順・月経不順
成熟した女性の体では、約1か月の周期で排卵や、子宮内膜の変化が起こります。排卵後、妊娠に至らなかった場合は、子宮内膜が剥離し血液などとともに排出される“月経”が起こります。月経は25日~38日の周期で起こるのが通常です。月経周期がこの範囲よりも短くなったり長くなったりする状態が“月経不順”で、一般に“生理不順”と呼ばれています。
月経不順には、周期が通常より短くなる“頻発月経”と、長くなる“希発月経”があります。また、妊娠していないのに3か月以上月経がない状態を“無月経(続発性無月経)”と呼びます。月経不順の原因には、ストレスや過度の体重減少のほか、卵巣や子宮の病気、ホルモンを調節する脳部位の病気、薬剤の影響などがあります。
ストレスなどが原因で一時的に月経周期が乱れることは少なくありません。一方で、ホルモンが乱れ長期的に排卵異常が続くと不妊につながることがあり、腫瘍しゅようなど治療が必要な病気が隠れている場合もあります。月経不順の原因は多岐にわたるため、月経周期の乱れが続くなど気になる症状がある場合は、産婦人科で相談するとよいでしょう。
生理不順の原因
月経不順の原因には、ホルモンバランスの乱れや卵巣の病気などがあります。ストレス、過度な減量、環境の変化などはもっともよく見られる原因の1つです。自然に改善する場合もありますが、月経不順にはさまざまな原因が考えられるます
生理不順の鍼灸治療
鍼灸治療では、子宮や卵巣のある下腹部を温めたり、女性器につながるツボを刺激して血流を促す治療を行います。東洋医学では、生理不順の原因は「気血水の滞り」であると考えます。体の滞りを促し、冷えを改善することで、体調全体を整え、生理のアンバランスを整えます。
冷え性(冷え症)
冷え症(冷え性)とは、西洋医学的には定義はなく、疾患とは扱われません。
体温を測っても低いわけではないし、内臓や血液検査で調べてみても何か問題があるわけでもないというケースがしばしばです。西洋医学での冷えとは、末梢の血管が収縮して皮膚に来る血液が不足している状態をいいます。これがこうじて手足や身体の特定の部分が冷たく不快に感じ、さらに6ヶ月以上この状態が続くことを冷え性(冷え性)といっているようです。
例えば、夏でも手足が冷たい、月経痛がひどい、頭痛やめまいがある、すぐ下痢や便秘になるなど、これらの症状で病院にいくと、原因がはっきりしないために自律神経失調症などといわれることもあります。
冷え症(冷え性)は身体の血液循環(肩凝り、のぼせ、月経異常、頭痛、不眠、など)が悪くなるだけでなく、水分代謝が悪くなること(むくみ、めまい、下痢、尿の異常)や内臓機能低下、特に胃腸の働きが低下したり、ホルモンのバランスが崩れて新陳代謝が落ちたりもします。
冷え症(冷え性)は、自分でも気づかない場合も多く、ただ身体の特定部分が冷たく感じるだけでなく、冬でも足がほてったり、足元は冷たいのに上半身や顔がほてったりします。これらも冷えのあらわれなのです。 本当は冷えているのに、その冷えになれてしまうと進みすぎた冷えが体温を上げるために発熱し、ほてることもあるのです。また、大汗をかいたり、むくんだりするのも、冷えのあらわれです。
この冷え症(冷え性)こそが、女性特有の疾患の原因になることが非常に多いのです。
冷え症(冷え性)に対する鍼灸(はり灸)治療
鍼灸(はり灸)治療では、お腹や背中、足首などをお灸であたため、身体を芯からホカホカにします。治療を続ければ、冷え症そのものを改善することも可能です。冷え症(冷え性)からくる、さまざまな症状でお悩みの方には、鍼灸(はり灸)治療をおすすめします。
更年期障害
更年期障害とは閉経の前後5年間の合計10年間ぐらいの間に起こる様々な症状の総称で、40代前半で症状が出る場合もあれば50代後半でも症状が出ない場合もあるため個人差が大きく必ず起こるわけではありません。症状はホットフラッシュと呼ばれるのぼせやほてりが代表的で、めまい、頭痛、倦怠感、不眠、耳鳴り、動悸などの症状が出る場合があります。精神的な症状もみられ、落ち込み、不安感、憂鬱感、やる気がでないなどがみられます。卵巣から分泌されるエストロゲンと呼ばれる女性ホルモンの低下のよって、自律神経のバランスが崩れることによって起こる場合が多いようです。
更年期障害の病院での治療
更年期障害の病院での治療は、主にホルモン補充療法が選択されます。エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンを服薬によって補充していきます。症状によっては抗うつ薬や抗不安薬が使用されることもあります。また最近では漢方薬が選択されることが増え、当帰芍薬散、加味逍遙散、桂枝茯苓丸は婦人科三大処方とされ更年期障害の治療にも多く用いられています。
アイム鍼灸院での更年期障害の鍼灸治療
アイム鍼灸院での更年期障害の鍼灸治療は、症状に合わせて各症状に対する治療を行いながら全身調整によって全身のバランスを整えていきます。東洋医学で上実下虚といって、上半身の緊張が強く、特に頭部や頚肩にほてりがあり、下半身に冷えがあるという状態があります。これはまさにホットフラッシュそのもので、東洋医学での鍼灸治療は更年期障害にとても有効です。上下の寒熱のバランスを整える事によって、更年期障害の症状を改善する可能性が高まります。
不妊・妊娠しにくい
不妊症は男女ともに身体の異常の有無を診断し、原因を除去することは言うまでもありませんが、最近では、原因がないのに子供ができないと訴える患者さんが増えています。このような方々に対しては、東洋医学が有効な治療手段となるはずです。その原典となる黄帝内経『素問』には「男女とも「腎気」(五臓六腑の一つ)が充実し、他の臓器に相通じることによって精気があふれ、陰陽が調和して生殖が可能」と説いています。
効果のあるツボ
ツボの治療としては、まず「関元(かんげん)」。おへそから直下に三寸(指幅3本)のところにあります。月経痛や月経不順にも有効です。
「血海(けっかい)」は膝蓋骨の内側面の上角から指幅3本分くらい上がったところにあります。膝部をつかむような形で、強めに押しもんでください。血行を良くし、婦人病に良く効くツボの一つです。
「三陰交(さんいんこう)」のツボは、足の内くるぶしから指幅で3本分くらい上がったところにあります。気血の循環を良くし、特に冷え症の方には不可欠のツボです。
前に述べた「腎気」を健全に強化させるためには、気血水の循環を整え、「冷え」には十分配慮することが大切です。特に足腰は絶対に冷やさないことです。
鍼灸(はり灸)治療の際、三陰交、血海、関元、足三里などのツボを患者さんの状態により選び、治療を行います。体質改善が必要なため、定期的に治療を行うことをおすすめします。
WHOが有効性を認めている症状
鍼(はり)とお灸は、WHO(世界保健機関)から正式に認められた医療行為です。なんとなく体調が悪いといった症状から、内科疾患や婦人科症状、免疫力を上げたい方、術後のしびれなど、西洋医学だけでは対応しにくい症状でお悩みの方も、お気軽にご相談下さい。